ここしばらく、五輪報道に押されてメディアに無視されていた感のある、シリアの化学兵器使用問題。
国連の調査も出たようです。
化学兵器使用断定へ シリア国連報告書で潘氏 - MSN産経ニュース
おおっ、国連も化学兵器使用を認めるのですね。これでアメリカの大義にお墨付きが与えられました。
となると、いよいよオバマ大統領も勢いづいて、武力行使決議を発動し、空母に攻撃命令を出すのか……と思いきや。
国連の武力容認決議求めず 米高官、シリア化学兵器 - MSN産経ニュース
武力行使どころか、容認も求めない、って。
イケイケどんどんに見えたのに、いったいどうしたのでしょうか。
国連の後ろ盾を求めると、米国の行動がそれによって逆に掣肘されてしまうことを恐れたのか。それとも、決議を発議しても、米国以外は誰も賛成してくれないリスクを見越したのか。
ひょっとすると、最初からここが落としどころだったのかもしれません。
【シリア情勢】「仲介役」で主導権狙う ロシアの外交戦術+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
アメリカとしては、シリア国内で化学兵器が使われて。
シリア国民が死のうが、政府軍に犠牲者が出ようが、どうでもよかったわけです。
けれども、シリアの持っている化学兵器がテロリストに流れて、アメリカが化学兵器の攻撃を受けることは、大変困るわけで。
それだけは、なんとしても防がねばならない。
そのためには、化学兵器の使用を禁止するだけでは不十分で、今シリアが持っている化学兵器をシリア政府、国民の管理下から取り上げて、
アメリカが信頼できる勢力の下で管理させるしかないわけですよね。
とすると、アメリカの武力行使は、
最初から、シリア政府を譲歩させてアメリカが信頼できる第三の仲介者=失う物が何もない無謀なシリアよりも、ずっとアメリカの立場を理解できる国際政治のプレイヤーを引きずり出すための、ブラフだったんじゃないのかなぁ。
……もちろん、最悪、シリア政府は譲歩せず、アメリカが信頼できる第三者の仲介も登場しないケースも考慮して。
その場合は、シリアの化学兵器を根こそぎ破壊するために。全力攻撃ができるように、出動準備も怠っていなかったのだと思いますけど。
だとすると、武力行使をわざわざ議会に諮って、自分でハードルをあげた不可解な行動も理解できるのですよね。
オバマ大統領って、見かけによらず、なかなかの狸ですね。