さて昨日書くと言っていたバディ・コンプレックスの考察の続きです。
この物語の最大の謎、ヒロイン「弓原雛」についてですが。
第一話で、
「私は未来人」「あなたを未来に送る」「私を信じて」「ディオが待っている」など、
かっ飛ばしたセリフをまくし立てたまま自らは姿を消す、
そして再び出会ったときは敵、とか、
まるで「神秘の世界エルハザード」を彷彿させる展開で、
そこが凄く惹かれて見始めたのですけど。
正直、いろいろな情報を断片的に提示されているため、
現状では結論づけるのは難しい状況なんですよね。
まあ、分かっている範囲で書いていこうと思います。
まず、
「雛は主人公をどうやって未来に送ったのか。その後どこへ行ったのか」について。
これについてはカップリングシステムが鍵を握っています。
#1
カップリングシステムの完全な同期の仕方について
9話にて「思考の伝達が遅れるのなら、遅れる分だけ思考を未来にタイムリープさせればよい」と説明がなされていますが。
これはよくよく考えると変な話です。
思考を未来に送った場合、本来いま受け取るべき情報を数秒後に受け取ることになるわけで。
そこから、さらに行動に移るわけなので、遅れが拡大するだけです。
実は、これは観測者から見た場合の逆説的な比喩で、
思考を受け取ったパイロットをコクピットの中で思考伝達で遅れた分だけ、過去に戻してやる。
これはパイロットから見ると、思考を未来へタイムリープさせたことになるわけです。
つまり、
コクピットの中でパイロットは短時間のタイムトラベル(タイムリープ)を常に繰り返して、完全な同期を取っている状態。
それがカップリングシステムの真実、というのが私の予想です。
#2
「魔法の鍵はコクピットにある」
というのは、エルヴィラが開発する以前の、フェルミ博士の機体では、
機体ごと過去へタイムリープさせて、同期をとろうとしていたのですが、
この事は、第11話で旧型機に搭乗しカップリングしようとしたときに、
青葉が載っている機体が失速したはずなのがなかったことになっている描写において表現されている。
つまり機体をタイムリープさせて、同期にかかった時間だけ巻き戻しした、ということなのです。
エルヴィラはコクピット内のパイロットだけ過去へ戻すことで、
より簡単で安全に同期を取ることに成功した、その発想の転換こそが「魔法の鍵」だったのですね。
#3
第1話で「弓原雛」は主人公をどうやって未来に送ったのか
では、今のところ最大の謎についてですが。
実は未来に送ったのではなくて、過去へ送っていたのですね。
「雛」が飛び込んだ特異点は、2088年よりもさらに未来の世界に通じるタイムトンネルでした。
そこで「雛」は、自分が乗っているカップリング機が青葉の載るべきルクシオンのコクピットと同一のコクピットであることを利用して、
同一の機体から外部コールでコクピットを起動させ、カップリングを呼びかけます。
この状態で、
機体は情報を受け取ったパイロットが情報を処理する同期の分だけ過去へタイムトラベル(つまり過去にあるコクピットへパイロットの情報を転送する)を開始します。
しかし、タイムリープ制限がつくため、その世界に同一存在が他の場所にあった場合には情報を受け取ることができなくなります。
ということで、
主人公青葉は、エンファティア波形の波長で情報を転送されて、過去つまり2088年のコクピット内において実体化。
主人公青葉が、エンファティア波形とのマッチングレベルが高いのは、エンファティア波形によって伝達された情報のみで肉体が構成されているからです。
通常の場合は、過去の肉体が存在するために、波形との『マッチング』という処理が必要なるのですが。
タイムトラベルを通過した青葉の場合、ノイズを含む過去の肉体がコクピット内に存在しなかったため。
エンファティア波形によって送られた素粒子=肉体のみで構成された人間になってしまっています。
(その意味では、厳密に言えば別人になってしまっている)
しかし「雛」は他の場所に同一人物が存在していたために、コクピット内に情報が固定されずに拡散してしまう。
というのが、第1話のタイムトラベルの正体ではないか、と予想します。
まあ、まだ情報が不足しているので、別の説もありえるのですけどね。
#4
1話で「雛」がコクピット内で青葉にお別れを言うシーン。
気になるのは、このときすでに、髪留めをしていないのですよ。
これが何を意味するのか。
私的には、すでにこの時点で情報の転送が始まっていて。
「雛」は自分が2088年のルクシオンに転送されていないことで、自分は青葉について行けないことを自覚したのではないか、
そのための描写かなぁ……と思うのですけど。どうかなぁ。
さて「弓原雛」については、まだ書き足りない謎が残っていますので。
明日も続きます。
いちおう、そういう予定。