裁判はもう3日も前の事になります。
で、
私、この2〜3日、テレビのワイドショーでどういう風に取り上げられるものなのだろうか、と、
興味津々でいろんな番組を見てたのですけど……
……取り上げられませんでしたね。ほとんど。
「豊洲市場」と「台風」と「パラリンピック」の話題ばかりで。
沖縄の話は、ほとんど見かけませんでした。
全国放送では、判決が出た当日のニュースで扱われたくらいでしょうか。
それだけ関心が薄い、というよりも。
判決が出たこと自体に意味のある内容がない、ってことなんでしょう。
裁判の判決理由については、
沖縄県知事埋め立て承認取り消しについて、合理的な理由が認められない、とはっきり書いてます。
これは、
裁判になる前からずっと言われていたことです。
国が沖縄県を相手に起こした裁判で、
前沖縄県知事が埋め立て承認手続きをした内容については、不合理な点がない、
なのに、現沖縄県知事が取り消し手続きをすることは違法である、とハッキリ述べていて、
違法を是正する国の主張には矛盾がない、
その上で、
沖縄県は国の主張を覆すだけの、合理的な理由を説明できなかった、ので、
国の手続きに瑕疵はなく、
沖縄県は国の是正指示に従うべき、従わないのは違法である、ということらしいです。
ざっと判決の骨子と要旨(これ、ごっちゃにしてました。恥ずかしい)を読む限り、
沖縄県が勝つには、
普天間飛行場が不要であることを、
つまり、現在沖縄に駐留している在日米軍が不要であることを、
合理的に説明することが求められているようです。
国の計画の合理性は、在日米軍の必要性を認める前提から出発して、
そこに不合理な点はない、と、
駐留米軍の必要性を認める中で、
沖縄県の負担を軽減するには、辺野古へ移設するしか方策がない。との判断は合理的だ、と
環境への被害も含めても合理的である、との流れで、
判決の要旨が書かれているように読めますので、
沖縄県側が最高裁に上告して勝つには、
前提である、
在日米軍が沖縄に駐留している必要性を完全に否定する法論理が必要なのでしょう。
辺野古訴訟、国が勝訴 知事の承認取り消し、高裁認めず - 沖縄:朝日新聞デジタル
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、埋め立ての承認を取り消した沖縄県の翁長(おなが)雄志(たけし)知事を国が訴えた訴訟で、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)は16日、国の主張を認め、翁長知事が承認取り消しの撤回に応じないのは違法だとする判決を言い渡した。「普天間の危険を除去するには埋め立てを行うしかなく、これにより基地負担が軽減される」との判断を示した。
辺野古をめぐる国と県の一連の争いで、司法判断が示されたのは初めて。翁長知事は最高裁に上告する方針で、埋め立て工事は引き続き再開できない見通し。
判決は、知事による埋め立て承認の審査権限について、国の計画が不合理でなければ、知事は尊重すべきだとした。
そのうえで、「海兵隊の航空部隊を地上部隊から切り離して県外に移転することはできない」などとした国の主張をほぼ全面的に採用。「普天間飛行場の被害を除去するには新施設(辺野古の代替施設)を建設する以外にはない」などと指摘し、2013年12月に仲井真弘多(ひろかず)前知事が埋め立てを承認したことは「不合理とは言えない」とした。
一方、翁長知事が埋め立て承認を取り消したことについては「日米間の信頼関係の破壊」といったデメリットを挙げ、「移転は沖縄県の基地負担軽減に資するもので、民意に反するとは言えない」とし、取り消すことによる利益が不利益を大きく上回っていないなどとして「違法だ」と指摘。翁長知事が国の是正指示に従わない不作為について違法と認定した。
判決を受け、菅義偉官房長官は16日午後の会見で「国の主張が認められたことは歓迎したい」と述べた。一方、翁長知事は会見で「地方自治制度を軽視し、沖縄県民の気持ちを踏みにじる、あまりにも国に偏った判断だ。裁判所には法の番人としての役割を期待していたが、政府の追認機関であることが明らかになり、大変失望した」と述べた。(岡田玄、吉田拓史)■判決の骨子
◆普天間飛行場の被害を除去するには(辺野古の)埋め立てを行うしかない。それにより県全体として基地負担が軽減される
◆埋め立て事業の必要性は極めて高く、それにともなう環境悪化などの不利益を考慮しても、前知事が埋め立てを承認したことは不合理とは言えない
◆埋め立て承認に裁量権の逸脱・乱用はなく、違法とは言えないので、現知事の取り消し処分は違法だ
◆知事は、国の是正指示が出て相当期間が経過しているのに従っておらず、これは不作為で違法に当たる
◇
〈辺野古への移設計画をめぐる裁判の経緯〉 前知事による埋め立て承認を翁長知事が昨年10月に取り消したため、国が昨年11月、沖縄県を相手取って代執行訴訟を提起。県も提訴したが、今年3月、全ての訴訟を取り下げる和解が成立した。和解に基づき、国は、承認取り消しの撤回を求める是正指示を出したが、翁長知事は応じずに国地方係争処理委員会に審査を申し出た。しかし、係争委は是正指示の適否を判断しなかった。国は7月、翁長知事が国の指示に従わないのは違法だと確認を求める今回の訴訟を起こした。
辺野古違法確認訴訟 裁判長の説明 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス
主文
1、原告が被告に対して平成28年3月16日付「公有水面埋立法に基づく埋立承認の取り消し処分の取り消しについて(指示)」によってした、地方自治法245条の7第1項に基づく是正の指示に基づいて、被告が公水法42条1項に基づく埋立承認を取り消した処分を取り消さないことが違法であることを確認する
2、訴訟費用は被告の負担とする。
請求認容です。理由については、判決の骨子と要旨を作成している。ご覧ください。
なお、この場で2点だけ説明致します。
まず1点目は、協議と判決との関係。協議は政治家同士の交渉ごとでまさに政治の話。訴訟は法律解釈の話。両者は対象とする問題点は同じでも、アプローチがまったく違うもので同時並行は差し支えないと、考えた。
2点目。裁判所が被告に敗訴判決に従うかを確認した理由に関係する。国は敗訴しても変わらない。国は何もできないことが続くだけ。
これは弁護士の方はよくご存じだと思うが、平成24年の地方自治法改正を検討する際に問題になった。
不作為の違法を確認する判決が出ても、地方公共団体は従わないのではないか。そうなれば判決をした裁判所の信頼権威を失墜させ、日本の国全体に大きなダメージを与える恐れがあるということが問題になった。
そういう強制力のない制度でも、その裁判の中で、被告が是正指示の違法性を争えるということにすれば、地方公共団体も判決に従ってくれるだろうということで、そういうリスクのある制度ができた。
それで、その事件がこの裁判にきたということになる。そういうことで、そのリスクがあるかを裁判所としてはぜひ確認したいと考えた。もしそのリスクがあれば、原告へ取り下げ勧告を含めて、裁判所として日本の国全体に大きなダメージを与えるようなリスクを避ける必要があると考えた。もちろん代執行訴訟では、被告は「不作為の違法確認訴訟がある。そこで敗訴すれば、従う。だから、最後の手段である代執行はできない」と主張されまして、それを前提に和解が成立しました。
ですから当然のこととは思いましたけれども、今申し上げたように理解があるということでしたので、念のため確認したものの、なかなかお答えいただけなくて心配していたんですけども、さすがに、最後の決断について知事に明言していただいて、ほっとしたところであります。どうもありがとうございました。判決は以上です。じゃあ終わります。