私的に、『韓国政府の広報紙』と評価している『朝鮮日報』に、
ちょっと気になる記事を見つけましたので、ブックマーク。
私がチェックしているのは、主に
日韓関係と北朝鮮関連なのですけども。
今回ブックマークを付けた記事は、
日韓関係に関する『寄稿』です。
これまでずっとこの朝鮮日報をチェックしてきた中で、
度々見かける、
この『寄稿』とか『社説』が、
実はなかなかくわせものでした。
その時の政権の意向に沿った人選で、
政権の主張を代弁するかのような記事を載せてくることが多いのです。
そこで、
文新政権が発足してから、そろそろ何か出てくるかしらん……と、
こちらは興味津々でチェックしていたのですけども。
うーん……、
なんというか……、
出てきたのは大変歯切れの悪い内容の『寄稿』でした。
内容が、『安倍総理』『慰安婦問題』を主題にした日韓関係なのは、
それが政権の方針なのだからでしょう。
要約すると、
文新政権は安部首相とどのように対峙するべきか、
慰安婦問題は1990年代の合意で解決するべきだったのに、韓国側が深追いしてさらに圧力をかけすぎた。
いったん横に置いておき、日韓関係を深化させるべきである。
そうすれば慰安婦問題他の諸問題も解決に向かうだろう。
……って具合でしょうか?
ただ、
本文中でどういう意味を持たせているのか、いまひとつ判らない点があります。
>韓国は慰安婦問題を日本が今後も背負っていく歴史の債務として残すしかない。
この内容について、
『時間をかけて日本に取り立てをするべきだ』
と早急な盲動をたしなめ訴えているのか、
『過去の遺物とするべきだ』と、
これ以上の深追いを避けて、区切りをつける事を訴えているのか。
韓国様のご意見なので、
多分、『両方』なのでしょう。
どちらにも取れる言葉で、
その時々にあわせて使い分ける、とダブルスタンダード……というよりも、
『自分の都合にあわせて後付けで趣旨をどうとでも変えてくる』=『ルール無用の動くゴールポスト』
ってのが、
韓国のお家芸ですので。
この記事で、今ひとつ趣旨が把握しにくいに点も、
そういう意図で書かれているための当然の帰結、なのではないかなぁ。と。
さて、
いまいち意味不明な点を除けば、
記事は全体として、今韓国ではやりの『用日論』の立場で、
日本との関係を深化して、実利をとるべし。
という内容で、
取り立てて目新しいものはありません。
ただ、
これが文新政権のスタンスであるならば、
最初から慰安婦問題で対決姿勢を鮮明に打ち出していた
「朴オバサン大統領」に比べると、
多少は対話の可能性が増えた、と考えられそうでしょうか。
朴オバサンは、最初から日本を非難して世界中を回り歩く、『告げ口外交』に
血道を上げてましたけども。
文新政権では、そのようなことはなさそうです。
一日本人としての私的には、
文新政権が告げ口外交に走ってくれた方が、
韓国人の本質がより明らかになるので、
そっちの方が嬉しいのですけどもね。
『用日論』みたいに、
「本当は告げ口外交がしたいけど今は分が悪いみたいだから、日本を利用することで我慢してやる」っていう、
隙あらば寝首を掻いてやるからな、的な隣人とは関わりたくないのです。
【寄稿】日本を直視しなければ韓日関係は見えてこない-Chosun online 朝鮮日報
安倍晋三首相に韓国人で知っている人がいるかどうか聞いたら、誰の名前を挙げるだろうか? 筆者は外交官として日本のことを知る立場にあったが、誰の名前も思い浮かばない。安倍首相が韓国とどんな縁を結んでいるかの記憶も私にはない。もしかしたら、ドラマ『冬のソナタ』により日本で「韓流」の代名詞になった「ヨン様(俳優ペ・ヨンジュン)」を知っていると言うかもしれない。
安倍首相がこのように韓国と縁遠いのは、本籍地・山口県の先輩たちが持つ韓半島(朝鮮半島)との悪縁に原因があるのかもしれない。朝鮮の国政が乱れて東洋の平和を損なうとして征韓論を展開した明治維新の精神的指導者・吉田松陰、ハルビンで安重根(アン・ジュングン)義士に銃撃され、死ぬ直前に朝鮮人が自分を撃った事を知ると、「日本を刺激して亡国を早めるだろう」と言ったとされる伊藤博文、朝鮮は自立できないとして併合を強行した桂太郎首相、朝鮮人は蒙昧(無知)なので押さえ付けて統治すべきだとして武断統治を行った寺内正毅初代朝鮮総督らが山口県出身だ。
近年で言えば、2012年の第2次安倍内閣以降の韓日関係が影響しているだろう。日本のある週刊誌は、安倍首相が「弱肉強食の時代に強者と弱者として共有してきた歴史に対し認識が異なるのは当然だが、だからと言って、大統領がすねて首脳会談すら避けるとは」「終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備で(態度を)はっきりとさせず、中国の戦勝記念日に天安門に立つほど偏っているかと思えば、『そうとは思いもしなかった』とでも言うように北朝鮮の核問題に生ぬるいとして、突然中国とぶつかった」と語ったと報道した。安倍首相は今の韓国政府を旧韓末の朝鮮王朝のように愚かだと思っているかも知れない。安倍首相が手本としている、母方の祖父で第二次世界大戦の戦犯だった岸信介元首相の夢は、日本を米国の陰から出し、再び大国にすることだった。安倍首相はそれに必要な改憲期限を2020年と見ている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は2021年まで政権を執ることが可能となったため、自信を強めている安倍首相を任期中ずっと相手にしなければならないだろう。
安倍首相は、日本に対して強硬だとされる韓国の新政権にどのように相対するのだろうか。トランプ米政権発足直後から繰り広げられている現状通り、ワシントンを経由してアプローチする可能性もある。つまり、米国の要路(重要な地位の人物)が日本の立場を説明するメッセージを韓国に送るということだ。しかし、韓日関係は第三者が割り込む余地がほとんどない。慰安婦問題一つとっても、30年間にわたり未解決の状態だ。筆者は、1990年代の外交の現場でこの問題を取り扱った。その時、及ばずながら日本政府が責任を認め、謝罪し、基金を設立するのを見て、一段落すると思った。ところが、韓国の世論は、日本にさらに大きな責任を取らせることを望んだ。2015年の慰安婦問題韓日合意にも、韓国の世論はまだ納得していない。
問題が長期化しているのは、果敢に解決に取り組めていない日本側の責任が大きい。ただ、日本が抱えている根本的な限界もある。太平洋戦争に勝利した米国の占領政策は、冷戦が始まると「断罪」から「再建」に変わって定着した。それ以降、「1億国民の集団的な罪」という論理で責任を回避した侵略の主体が引き続き国を率いることになった。このため、日本帝国主義の反人道的犯罪が日本の国内法から抜け落ち、原爆による民間の犠牲が浮き彫りにされ、加害意識よりも被害意識の方が大きくなった。こうした歴史の時計の針を逆回しできないなら、韓国は慰安婦問題を日本が今後も背負っていく歴史の債務として残すしかない。
過去の歴史は書き直せないが、新たな歴史を書くことは可能だ。そのために、韓日は普遍的価値を共有する資産を生かし、共同の利益をはぐくむべきだ。北東アジアで相対的に弱い立場にある韓国は、独力だけで安全や豊かさを得て、それを守るのが難しい。強国同士の競い合いを韓国のチャンスとして生かし、安全や豊かさを守るには、韓国の存在がそれぞれの強国にとって重要でならなければならない。しかし、過去が現在と戦っている今の韓日関係が続く限り、これは不可能だ。原則の問題に断固たる姿勢を取ることと、現実を直視して実益を追うことは二者択一ではなく、共に追求すべき目標だ。北東アジア情勢の激動もそうした選択を要求している。