昨日かそれよりもう少し前から、
ネットの一部界隈で注目されているニュースです。
私も、
ここ数日でかなり頻繁に見かけまして、
気になっていたので、
ソース記事にブックマークを貼ってみました。
韓国発で、
日本メディアはほとんど取り上げていませんが、
韓国系と近しいアメリカメディアでは取り上げています。
それなのに、
『朝日新聞』とか『毎日新聞』とか、
朝鮮半島大好き日本メディアでは
取り上げていないんですよねぇ。
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まあ、
それはそれとして。
ニュースの内容は、
韓国の銀行で販売していた
金融派生商品……おそらく『仕組債』じゃないのかなぁ。
と思われるのですけど。
ドイツ金利を扱ったそれが、
元本割れを起こして。出資金の90~100%程度の損失が見込まれる、と。
他に、
ポンド建てとUSドル建ての商品もあって、
こちらは50%程度の損失が見込まれている。とか。
そんな
危険な金融商品が既に8224億ウォン(約730億円)ほど販売されていて、
ここへ来て、
韓国の金融当局が実態調査に乗り出しました。
それを報じているニュースです。
これはまた、
なんというか……支離滅裂というか。阿鼻叫喚というか。
唐突ですよねぇ。
私も、
個人的に細々と投資に手を出している経験からして。
元金100%全額損失……というのは、
『詐欺』案件としか考えられないのですけど、ね。
というのも、
こういう複雑な仕組債というか、
金融派生商品って元本割れするのは日常茶飯事なんですけど。
だいたい、
元金の30~50%水準まで損金が出たら、
そこで強制償還してしまう
ノックイン的なセーフティーがあるはずなんですよ。
販売する側が『焼き畑商法』で、
一回で必要な数だけ売り切って資金を集めるだけ集めたら
会社を潰して夜逃げ……狙いなら、
100%損失商品を積極的に売り込みますけど。
それじゃあ、
後先ない商売ですから。
客を『食い殺す』商売人は
客の方で敬遠しますからね。
完全に殺してしまっては、次から誰も相手にしてくれません。
だから普通は、
損を出しても元本の7割なり半額以下になったら、自動で解約して。
投資が強制終了するようにします。
……じゃないと『次』の客が来ませんから。
そこは、
販売する側も理解していて、
『活かさず殺さず』の範疇で収まるような商品を作り、
売り込んで客の金を少しずつある程度の時間かけて巻き上げるわけです。
なので、
元金100%全額損失、するような金融商品となると、
まずまず、
思い浮かぶのが『ポンジスキーム』と言われる有名な投資詐欺の仕組みで。
「出資してもらった資金を運用し、
その利益を出資者に(配当金などとして)還元する」などと
謳っておきながら、
謳っていることとは異なって実際には資金運用を行わず、
後から参加させる別の出資者から新たに集めたお金を
(やはり運用せず)以前からの出資者に“配当金”などと偽って渡すことで、
あたかも資金運用が行われ利益が生まれて
それが配当されているかのように装い続けて
元金を食い潰して破産する……という。
投資詐欺、ですね。
最近だと、
まったく実態のない、
もしくは利益の見込めない事業に帳簿上で投資して、
事業の失敗を宣言して破産、
集めた投資金は密かに別口座に動かして、
確保しつつ。
出資者には破産した債権を払い下げて、出資金を不正に巻き上げる、という。
より巧妙な仕組みになっていたりします。
元本全額喪失の投資商品……となると。
そんな物しか思い浮かばないのですが。
韓国の金融当局は19日、銀行や証券会社が主に個人投資家に販売した約8224億ウォン(6億7980万ドル)相当の金利デリバティブ(金融派生商品)を調査すると発表した。投資した資金ほぼすべてが失われる可能性があるという。
金融監督院(FSS)は、調査対象となるのは、独10年債利回りに連動したデリバティブなど。ウリィ銀行、KEBハナ銀行、国民銀行、国内証券3社が188の法人顧客、3654人の個人投資家に販売した。調査は今月開始するとしている。
3銀行のコメントは得られていない。
ただまぁ、
ここまでの話なら、
お金のある国ならどこでも偶に起きる事件で。
さほど
気にするほどの内容でもないのですけど。
今回は金額が少し大きいかなぁ……くらいで。
では、
今回の件が特に気になったのは何故なのか、といえば。
このニュースの一報が
いきなり国の金融当局の監査発表から始まっている点です。
この手の事件の場合、
まず、
第一報として被害者がいて、
被害者が警察なり行政機関なりへ相談、裁判で提訴
↓
数が集まって問題発覚、社会問題化
↓
行政が動く……
とか。
まず『被害者在りき』『被害届在りき』で始まる事件なんですよねぇ。
それが、
今回は、
被害者のニュースはほとんど表に出ず、
いきなり
金融当局の監査から始まっています。
こういう流れから始まる場合、
というのは。
日本での過去の経験に照らし合わせますと、
組織的な不正を告発する、
内部告発による場合……という状況が多いのです。
というのも、
監査に入るには、
それだけの確たる証拠が必要で。思いつきでは出来ません。
行政手続きの強制執行に踏み切ったのですから、
それを裏付けるだけの確証があったはずです。
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現在、
ドイツ金利はマイナス金利に突入しており、
歴史的な低水準ではありますけども。
ドイツがマイナス金利に突入したのは、
今回が初めてではありません。
既に、数年前に前例がありますし。
非常に珍しい事例ではありますけども、
決して『ありえない』事態ではないのですよねぇ。
ドイツのマイナス金利を持ってして、
それで関連する金融派生商品が元金全額消失するほどの損を出す、
そのような仕組債……を起債できるのか、
と考えると。
政策金利の変動は、単位時間内ではほとんど動きませんので、
元金全額消失させるほどの損失を出すには、
相当無茶な組み立てをしないと、
まず、実現できません。
しかも、
一瞬で『蒸発』するような損失の出方は、
ほぼ不可能です。
あり得そうな事態を推測すると、
ノックインで償還した時点で巨額の赤字を計上することになるので、
倒産確定してしまう、と。
それを避けるために、
本来償還する状況でも赤字先送りのために、
含み損状態のまま抱え込んで、
相場が好転し、
赤字幅が減少するのを期待した。と。
ところが、
相場が好転せずどんどん悪化する一方で、損失額もますます拡大。
いよいよ償還できなくなって。
今に至る、と……。
仮に
この通りだとしたら、
損切りするべき時に損切り出来ず、
リスクを先送りにして『塩漬け』したまま、全て失ってしまう、
投資の素人が犯す典型的なミス。
なんですけど。
※これを書いたあとで、現地メディアの記事をさらに調べてみたら。
ほぼ、ここで予想した通りの展開でした。
https://www.mk.co.kr/news/economy/view/2019/08/632511/
さらに調べてみると、
私が予想した展開以外に、ドイツ国債10年物の金利が-0.7以下で
元本全額ロストという無茶な仕組みの物もあるようです。
http://www.asiae.co.kr/article/2019081906393840773
というか、
これ、CDSのリスク・プレミアムを
そのまま利回りとして組み込んでるヤツだろ。
なので、デフォルトが発生した場合……
今回はドイツ国債10年物の金利が-0.7%以下に為った場合、
スワップ購入に当てられていた投資金が
デフォルトの補償金として全額引き当てられてしまう。という。
普通に考えて、
個人に売りつけていい商品ではないですよ。
よくもまあ、
こんな物を銀行の窓口でろくな投資経験もない個人に売ったなぁ……
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で、
問題は、果たして今見えているだけで全てなの?
って点で。
こういう問題、
第一報で表出するのはたいだいが『氷山の一角』なんですよね。
類似している関連商品も、
それなりに問題を抱えていて巨額の損失を出しているけど、
発端の状況では、
そこまで把握できず。
問題が起きて全数検査したら、
さらに被害が拡大。
特定団体だけですまず、業界の何割かがかかわっている、という。
目も当てられない状態で。
最初に出たのは、
その中で盛大に『焦げ付いて大炎上している』部分だけ。
これから炎上する案件が、
全数検査で次々に発覚して被害が拡大する、という。
調査には時間がかかりますから
韓国の金融市場は、
たぶん1~2ヶ月後の10月、11月近辺がかなり危険なんじゃないですかね。
逃げるなら今、かなぁ……