ついに本決まりとなった東京五輪のマラソン・競歩の札幌開催。
なんかIOCが、
一方的な悪者にされてますけども。
選手の声を聞かなかったのは、
日本の大会組織委員会もですよねぇ。
今年の8月には、
競歩の日本記録保持者が、
『東京での開催は深刻な問題が発生する恐れがある。
再考を求める』
とメディアの前で、
東京開催の再考を求める声明を出したり。
それを受けて、
『競歩コースに全部天幕を張ったらどうか?』
という。
とんでも案が大学教授から発表されたり。
五輪直前になった今で、
選手側にはかなり問題視されていた事実が山積みだったハズなのに。
IOCが
札幌開催を発表してからは、
その辺りの経緯、
選手側も東京開催について危険視していた事実を
日本のメディアは
いっさい報じなくなりました。
日本のメディアから出てくる声は、
『IOCが……』
こればかり。
でも、
選手の視点を含めれば。
選手 対 IOC・東京五輪開催組織委員会。
という。
IOCも、東京開催組織委員会も。同じ穴の狢だったわけで。
その中で、
ドーハでの女子マラソン大会の結果を見て。
IOCが、
方針を変更して選手サイドに立った。
そういう流れなのですけど。
なぜか、
日本のメディアが流す情報はIOC悪者論ばかり。
なんだかなぁ……
苦渋の決断を余儀なくされたキーマンの顔は曇り続けていた。東京五輪陸上のマラソン・競歩の札幌への変更が1日、開催都市の同意がないまま決定するという前代未聞の事態。「合意なき決定だ」。東京都の小池百合子知事は、英国の欧州連合(EU)離脱に向けた象徴的なフレーズに、都の立場をなぞらえてみせた。突然の変更通告に小池知事は一時、法的措置も検討したというが、開催まで残り9カ月を切った大会運営自体への影響に懸念を示し、最終手段に訴えることまではしなかった。
「今も東京がベストという考えは変わっていない」。この日行われた国際オリンピック委員会(IOC)などとの合同会議で、小池知事はこう意地を張った。
都が東京開催を断念した最大の理由は、IOCに絶大なる権限があることだ。小池知事は会議後に都庁で行われた定例会見で、「さらに戦うことも検討したが、勝てる可能性は少なかった」と強調した。
都は法的に訴えることができる領域はどこかを検討。訴訟沙汰になれば、時間も費用もかかる。法律の専門家の意見を聞いた結果、「札幌移転を覆すのは難しい」との見解を示されたという。
合意か、不同意か-。10月31日に都庁幹部らと内部協議を重ね、悩み続けた知事が都庁を後にしたのは日付が変わった午前0時過ぎ。知事が変更案を受け入れる意思を押したのは、1日午前2時ごろに直接届いたIOCのトーマス・バッハ会長からのメールがきっかけだった。
メールには、マラソン・競歩を待ち望んでいた都民の気持ちをおもんばかり、都民のために五輪後に行われる「セレブレーションマラソン」の提案が書かれていた。
それまで都とIOC、大会組織委との溝は深かった。「どうして私には電話をくださらなかったのか」。札幌案が都が把握する数日前に組織委の森喜朗会長らに伝わっていたこを後から知った小池知事は、森会長らに直接不満をぶつけている。
札幌変更案が公表された翌日、都内の会合で「涼しい所というなら北方領土でやったらどうか」と憎まれ口を叩いたのも、森会長が首相時代を含め、日露領土交渉を担ったロシアのプーチン大統領と仲がよいことを当てつけたものだ。「そもそも決まっていると言い張る相手に対して、交渉するのはタフだった」。こう総括した小池知事の表情は愁(うれ)いを帯びていた。
9月の世界陸上(ドーハ)に出場する競歩代表で、20キロの世界記録保持者の鈴木雄介(31)が8日、北海道千歳市の合宿で、東京五輪のコース変更を求めた。
理由はこうだ。
7月31日の早朝に東京五輪のコースを歩いたところ、「全く日陰がない。脱水になってもおかしくない」という厳しい環境を実感したという。
当初、競歩の五輪コースは国立競技場を発着点に青山通りに周回コースを設定するはずだったが、審判を配置するには不向きなことから皇居前を周回(20キロは1周1キロ、50キロは1周2キロ)するコースに変更された。
陸連強化委員長や専務理事などを歴任した澤木啓祐氏(順大大学院特任教授)は以前、日刊ゲンダイのインタビューで「東京五輪のマラソンや競歩は北海道や(山梨県の)河口湖付近でやるべきだ」と言った。五輪開幕まで1年を切ったいま、連日の酷暑と鈴木の発言を受けて改めて話を聞くとこう言った。
「鈴木はよく声をあげた。湿度が高い日本のこの時季、28度以上での屋外競技は死に至る環境といわれている。1995年8月の福岡ユニバーシアード大会のマラソンは気温29度、湿度90%、無風という条件で行われ、完走率は男子55%、女子70%。この結果、次のユニバーシアード大会から、ハーフマラソンに種目変更された。東京五輪の競歩やマラソンはその時より過酷な条件になる。死人が出るというのは、決して大袈裟な話ではない」
さらに澤木氏は続ける。
「今回の競歩のコースは、過去のデータ(気温、湿度など)をしっかり調べて決定したのかどうか。日陰のない皇居前を4時間も歩けば、たとえゴールしても後遺症が心配です。体温が下がらず、脳に悪影響を及ぼすこともある。北海道は無理でも、選手の体を第一に考え、コースは(都内の)日陰のある日本橋のビルの谷間にするなど再考するべきです」 現在、東京の朝6時の気温は30度を超えている。総務省消防庁の発表によれば、7月29日から8月4日の1週間に熱中症で救急搬送された人は全国で1万8347人(死者57人)に上り、東京はダントツの1857人。8月1日から6日までに東京23区では、40代から90代までの男女39人が熱中症で死亡したという報道もあった。消防庁はこの猛暑で警戒を呼びかけている。ある競歩関係者は「五輪でメダルを狙う鈴木が実際にコースを歩いて語った言葉ですから重みがある。こんな環境では観客も来ないのではないか」と懸念している。