この方のお名前は存じていませんでしたが、
テレビ画面の中では
その演技を何度も楽しませていただきました。
記事中にある
テレビ時代劇
『暴れん坊将軍』とか『水戸黄門』とか
ああいう娯楽時代劇で。
シメ直前の大立ち回り、
『出会え出会えーー!』と悪役の統領が声を張り上げて
手下どもを呼び集める、
そのシーンで必ずといっていいほど出てくる人です。
あと、
たまに適役では無くて
狂言回し的なポジションでも出てくるのですけど。
その瞬間に、
『ああ、この人は、この先どこかで斬られるだな。
どのシーンで斬られるんだろうな』
パッと見で
筋立てが直感的に分かってしまう、
という。
貧しい町人とか浪人とか、
そんな役で。
誰かを助けようとして悪事にクビをつっこんしまい、
口封じのために
バッサリ切られる、
という。
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これ、
冷静に考えると
とんでもない話なんですけど。
なんというか、
フィクション、物語には、
こういう
安定して『嘘』の世界であることを
示してくれる人が存在する、
それが
とても重要で。
こういう方は、
ものすごく重宝するのですよねぇ。
一目で
『悪役』と分かる役者さんとか。
こういうのを理解してもらうには、
そういうシーンを組み立てなければならないのですけど。
それはつまり、
悪事を見せる、というシーンになるわけで。
往々にして
視聴者にとっては、
あまり見たくない心理的な負担が大きいシーンになります。
それを、
使わずに視聴者に悪役として納得してもらえる存在。
とかね。
そういう役者がいて、
フィクション物語が際立つんですよねぇ。
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最近は、
そういう凄みを放つ脇役が
どんどん減ってきて。
その中で
今回の訃報は
とても残念で寂しくあります。
「5万回斬られた男」俳優の福本清三さん死去…「ラストサムライ」「水戸黄門」鮮やかな斬られ方で人気
時代劇の斬られ役などとして活躍し、「5万回斬られた男」の異名を持つ俳優の福本清三(ふくもと・せいぞう、本名・橋本清三=はしもと・せいぞう)さんが1日、肺がんのため死去した。77歳だった。告別式は近親者で済ませた。喪主は妻、橋本雅子さん。
兵庫県生まれ。1958年、15歳で東映京都撮影所に専属演技者として入所。映画「柳生一族の陰謀」やテレビ「暴れん坊将軍」「水戸黄門」など、時代劇を中心に出演し、派手に体を反らせて後ろ向きに倒れる、鮮やかな斬られ方で人気を集めた。
俳優の福本清三さん
2003年に米映画「ラストサムライ」に出演。04年には第27回日本アカデミー賞協会特別賞を受賞した。14年の映画「太秦ライムライト」で初めて主演を務め、カナダの第18回ファンタジア国際映画祭の最優秀主演男優賞に選ばれた。その後も映画やテレビなどで活躍していたが、昨夏に体調を崩し、療養していた。