ケージ(駕篭)とか、
アームとかで固定した状態ではなく、
ロープで吊した状態で
海中に吊り下げて数十キロの距離を曳航して行く、
ってんだから。
専門家レベルなら
かなり無茶な事をやっているなぁ、
って話でして。
海流の抵抗が強くなれば、
こういう事もあろうか、という話。
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この手の沈没船の引き上げって、
普通は、
鋼船の場合なら、
内部にガスを送り込んで浮上させてから曳航する、
って手順で進めるのですけどね。
船をひっくり返して
船底を上にした状態にして。
船底にどんどん空気を送り込み、お椀に空気をためる容量で浮力を得て。
船を浮上させます。
もしくは、
外部に浮き輪をつけて、そこへガスを送り込んで膨らませる、とか。
でも
今回沈没した
知床の観光船の場合だと、
強化プラスチック製のモノコック構造(一体成形型)みたいな、
その上
一部がガラス張りの代わりの透明プラスチック、という。
圧力には弱い船体で。
浮力を作るために船内を膨らませると、
破裂してしまう恐れがあるんですよねぇ。
同様に、
急いで引き揚げようとしたら、
船体が水圧に負けて簡単に破れてしまいます。
亀裂が入ったり、とか。
傷が出来てしまって、
原型をとどめないほど破損してしまい
事故の検証にならない。
さらに、
船をひっくり返したら、
遺留品や船体備品が脱落する事も考えられる。
そういうリスクがあるので、
時間をかけて釣り上げながら、
港近くまで運ぼうとしていた途中で。
落ちてしまいました。
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メディアの報道内容を見ていると、
やや非難めいた論調が見えたりしますが。
今回、
沈没した知床観光船のサルべージを担当しているのは、
日本国内で最高峰の技術を持った企業ですよ。
ここで無理なら、
他のどこにも出来ません、って。
知床 観光船沈没事故 つられた状態の船体が182mの海底に落下
北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故で、現場の海底から海面の下20メートル程度までつり上げられ、海中につられた状態のまま作業船で運ばれていた船体が、24日午前、北海道斜里町沖で落下しました。
水深182メートルの海底に沈んでいることが確認され、海上保安庁などが詳しいいきさつを調べるとともに、再び引き揚げに向けた作業ができないか検討しています。
知床半島の沖合で観光船「KAZU 1」が沈没した事故で、現場では23日、水深およそ120メートルの海底から、船体をつり上げる作業が行われました。
船体は、海面の下20メートル程度の海中につられた状態のまま作業船で運ばれていましたが、海上保安庁によりますと、24日午前10時すぎ、北海道斜里町のウトロ港からおよそ11キロ西の沖合で、落下しているのがわかったということです。
作業船を運航するサルベージ会社は、運航中に海中の船体の状況を水中カメラで点検していて、午前8時の時点で異常はなかったものの、10時に船体がなくなっているのがわかったということです。
その後、現場海域を水中カメラで捜索したところ、午前11時半すぎに深さ182メートルの海底に沈んでいるのが確認されたということです。
落下した原因はわかっていませんが、船体は船底を下にした状態で沈没していて、水中カメラで確認するかぎり大きな損傷はなく、原型をとどめているということです。
海上保安庁などが詳しいいきさつを調べるとともに、再び引き揚げに向けた作業ができないか検討しています。
船体は、早ければ24日に作業船の上に引き揚げられ、最終的に
は網走港に陸揚げされる予定でした。