この方とは
直接の面識はありませんが、
エンタメ業界の片隅で生きている者として
同じ役を50年以上も演じ続ける偉業は、
顕彰されて
大記録として後世に伝えられるべき、
と感じているので。
今回、
この与太書きブログに記す事にした次第です。
まあ、
御本人にとっては
迷惑千万な話かもしれませんが……
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なんと言いますか、
私も
かつて一度
長期シリーズ作品にかかわった事があるのですけど。
アレは
本当にシンドイです。
まずもって、
『ハズす』事が許されない、
現場に、
そういう空気感が満ちている中で。
マンネリではない
『新鮮な』『何か』が求められている、という。
過去に
何百回、何千回、と
同じネタをこすってきている、
という世界で。
定番が欲しい、のだけど。
同じものはいらない、
という。
注文を出される側としては、
『なんじゃそりゃ』って
精神メンタルがガリガリ削られます。
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ユーザー=観客側には
すでに
特定のイメージが定着していて、
それに合わせればいい、
って
安直に言われるんですけど。
そんな簡単な話じゃ
まったく通用しません。
なぜなら、
ユーザー=観客の生活環境、
ざっくり言ってしまうと、
『昭和』『平成』『令和』と
時代が変遷するのに伴って
その時々の
社会的な常識ってヤツは変化してまして。
口語、
話言葉とか、
会話のイントネーションとかも、
変化、変遷しているんですよ。
だから、
親、子、孫の世代で
同じキャライメージであっても、
体感の印象が異なっていたりします。
一つの同じ台詞に対して、
世代によって、
声が甲高いと感じたり、
しゃべりテンポが遅いと感じたり、
受け取る結果が異なってくるんです。
その中で、
最大公約数的な
『同一イメージ』を
シリーズの最初から50年以上続けて
堅持し続ける、ってのは。
まさに『神技』です。
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ニュースでは
一口に
『「タラちゃんの声」初回放送から半世紀以上演じ続ける』
との説明で語られた裏には、
凡人では計り知れない世界があるんです。
そういう世界を生き抜いて方が
また一人、
亡くなられてしまいました。
これは
業界にとって本当に大きな損失で
まことに残念です。
って、
私みたいな
木っ端がこんな事を書いたら
失礼千万なんでしょうけど。
『初回放送から半世紀以上演じ続ける』という
言葉の背後にある事情を、
もう少し説明して欲しいなぁ。
と思い、
この与太書きにツラツラ吐き出してみました。
日本のアニメとか、マンガとか、
いまや
『ジャパニメーション』で通じるようになった作品は
こういう方々に
支え続けられてきたんです。
謹んで
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
「タラちゃんの声」貴家堂子さん死去、87歳…初回放送から半世紀以上演じ続ける
フジテレビのアニメ「サザエさん」で、タラちゃんの声を担当した声優の貴家堂子(さすが・たかこ=本名・堀内堂子)さんが5日、死去した。87歳だった。告別式は近親者で済ませた。
1969年の放送開始から半世紀以上にわたり、タラちゃん役を演じ続けた。同局によると、26日の放送が貴家さんが出演する最後の回になるという。
サザエさん役の加藤みどりさんのコメント 「初回放送から50年以上、ずっと一緒に家族として歩んできた貴家ちゃん。『貴家ちゃんがいるうちは私も頑張らなきゃ』と思っていたので、貴家ちゃんがいなくなって本当に寂しく、悲しい気持ちです」