昨年12月29日の事故発生以来、
私的に注目している、
韓国務安(ムアン)空港での
ジャンボジェット機着陸失敗炎上事故について。
本日も、
いくつか新たな情報が公開されていましたので。
関連するニュース記事にブックマークを付けました。
<チェジュ航空旅客機事故>メーデー発信の1分前に位置追跡途絶える…電力シャットダウンの可能性
先月29日、韓国務安(ムアン)空港で事故が発生したチェジュ航空の旅客機は、鳥類と衝突した後、両方のエンジンが故障して機内の電源供給が中断された可能性があるとする見方が優勢となっている。
専門家はその根拠として「電波基盤の航空機追跡システム(ADS-B)」が送信する事故飛行機の位置情報が当日午前8時58分を最後に送信されなかった点を挙げている。航空機位置情報は分単位で送信・記録されるが、パイロットが管制塔との交信で「メーデー」(国際遭難要請)を発信した8時59分には位置情報が消えた。航空機エンジン2基のうち1基でも作動していれば機内に電力が供給されてADS-Bを作動させることができる。
経歴20年以上の現職機長Aさんは「ADS-Bはパイロットが故意にオフにするのも大変な装置」とし「ADS-Bが消えたということは鳥類衝突(バードストライク)当時、航空機自体に大きな衝撃が加えられた可能性が高いという意味」と説明した。航空専門家は電源シャットダウン以降、パイロットと管制塔間の無電交信はバッテリーに残った少量の電源で行われたとみている。
事故飛行機の胴体着陸当時、ランディングギアとフラップ(航空機離着陸時の速度を調節する装置)、エンジン逆推力、スピードブレーキなどが作動しなかったのも両側エンジンの故障で電源がシャットダウンしたことが原因である可能性が高いという分析が出ている。カトリック関東大学航空運航学科のチョン・ユンシク教授は「航空機エンジン一つを通じてでも電源が供給されていればオートパイロット(自動操縦装置)で着陸でき、他の電子機器もほぼ正常に稼動する」と説明した。
ただし今回の惨事の事故原因究明は遅れる見通しだ。韓国国内ではブラックボックスの分析が難しく、米国に送ることになったためだ。音声記録装置は比較的良好な状態で見つかったが、フライトレコーダーは外観が一部毀損し、電源部分と保存装置を連結するコネクター(帯のように薄く幅が広い形)が紛失した状態だった。国土交通部関係者は「韓国国内で代替品を手に入れることは難しく、これを装置と接合する過程も精巧な技術が必要」とし「ただし、音声記録装置は(音声ファイル転換まで)2日ほどかかる予定」と説明した。
同部は1日の記者会見で務安空港滑走路延長工事で北側滑走路を従来の2800メートルから2500メートルに短縮して運用していた事実を確認したと明らかにした。長さ自体は航空機の離着陸に問題がない。ただし今回の事故が滑走路の3分の1地点(開始点から1200メートル地点)から胴体着陸を行った点を勘案すると、一部影響を及ぼした可能性も出ている。また、1回目の着陸に失敗した事故機が2回目の着陸を試みたときに滑走路の反対方向(第19滑走路)に着陸したのはパイロットと管制官の間の合意事項だったと明らかにした。
<チェジュ航空旅客機事故>空中で残った燃料をなぜ捨てられなかったのか···「事故機種にはその機能がない」
29日、務安(ムアン)空港で発生したチェジュ航空旅客機事故に関連し、一部では▽着陸前に航空油を消尽しなかった理由▽滑走路に特殊泡を撒かなかった理由--などについて疑問を提起している。
同日、航空業界によると、事故旅客機が燃料を捨てないまま胴体着陸後、速度を落とすことができず、空港の外壁にぶつかり大きな火災が発生し、人命被害をさらに増大させたという分析が出ている。航空油は一般ガソリンより火がつく温度である発火点が高いが、一度火がつくとその火力がさらに強い。もし航空油を捨てたとすれば、火災規模が減り、人命被害も減少した可能性があるということだ。また、航空機は着陸が可能な最大許容着陸重量があるため、もし途中で非常着陸する場合には、この重量に合わせるために燃料を強制的に空中に噴出する。
だが、事故旅客機のようなボーイング737機種は製作の時から上空で燃料を任意に捨てられる「燃料放出(Fuel Dumping)」機能がないことが分かった。このため、非常時には引き続き同じ区間を回転しながら燃料を自然に消耗しなければならない。しかし、今回の事故のようにエンジンの異常など、様々な非常状況が重なった場合には、燃料を消耗するほどの時間的余裕がなかったものとみられる。
ボーイング(B)737機は、韓国国内の格安航空会社(LCC)がエアバス(A)330などとともに最も多く使っている機種だ。乗客輸送力や燃料効率、機体整備の面で効果的だという評価を受けている。韓国国内のLCC関係者は「ボーイング737は当初燃料放出機能がなく、エアバス330は購入契約当時に選択事項として該当機能があると理解している」と話した。一方、燃料放出機能のある機種はB-747、B-777、B-727、A-340、A-380などだ。A-300、A-310、A-330などは購入者が選択するオプション事項として知られている。
また、この日、チェジュ航空事故機が胴体着陸する時、滑走路に「フォーム」と呼ばれる特殊泡が撒かれていないことが分かった。これに対し、匿名を望んだ現職旅客機操縦士は「胴体着陸の際には滑走路にフォームを撒き、着陸時の衝撃を減らすと知っている」として「空港にフォームを撒くほどの時間がなかったのか確認する必要がある部分」と話した。
消火装備を備えた緊急救助チームが現場にいなかったことにも疑問が提起される。それだけ状況が緊迫していたのか、それとも非常状況の対処に不十分だったのか、調査が必要だという指摘だ。中央日報が確認した務安国際空港の消防隊出動現状を見ると、務安空港の管制塔は航空機衝突事故直後の午前9時4分ごろ、空港消防隊に出張を指示した。消防隊は出動受け付け後の午前9時5分ごろ、現場に出動した。チェジュ航空の航空機は午前9時3分ごろ、最終衝突した。つまり、務安国際空港の管制塔はチェジュ航空機最終衝突以降、消防隊の出動を指示したわけだ。
<チェジュ航空旅客機事故>「損傷したフライトレコーダー米国に送る」…原因究明遅延は避けられず
務安(ムアン)空港でのチェジュ航空機事故の原因究明が遅れる見通しだ。韓国国内での事故機のブラックボックス分析が難しく米国に送ることにしたためだ。
韓国国土交通部は1日、「事故を調査中の航空鉄道事故調査委員会が事故当日に回収したブラックボックスを点検した結果、フライトレコーダーは韓国国内でのデータ取り出し不可と判断され米国に運んで分析することにした」と明らかにした。事故機のフライトレコーダーは米ワシントンの米国家運輸安全委員会(NTSB)に送られ、事故調査委員会関係者も分析に参加する。
航空機のブラックボックスはフライトレコーダーとボイスレコーダーに分かれる。フライトレコーダーは航空機の3次元的な飛行ルートと各装置の単位別作動状態をデジタル、磁気または、数値信号で記録する装置で、ボイスレコーダーはコックピット内で機長と副機長など乗務員同士の対話、管制塔と乗務員の交信内容、航空機作動状態の音と警告音などが録音されている。フライトレコーダーの分析を通じて航空機の高度、速度、エンジン推進力、ランディングギア作動などを把握できる。
事故調査委員会は2種類のブラックボックスを事故当日に現場で回収した。ボイスレコーダーは比較的良好な状態で見つかったがフライトレコーダーは外観が一部損傷し、電源部と保存装置をつなぐコネクターが紛失した状態だった。国土交通部関係者は「コネクターは電源とデータ伝送の役割をするが、汎用性がない装置のため国内で代替品を得にくい状況。コネクターを装置に接合する過程も精巧な技術が必要で、むやみに開封すればデータ保存にいろいろな問題があり得るという専門家の意見があった」と説明した。
国土交通部はこれまで正確な事故原因を究明するためにはブラックボックス分析が必須だと何回も強調してきた。だがフライトレコーダーが米国に送られ事故原因が明らかになるまで数カ月かかる可能性が大きくなった。装置の状態などにより最終分析まで2~3年が必要となる事例もあるというのが専門家らの説明だ。ただボイスレコーダーの状態は完全なものと把握された。現在データの取り出しを正常に終えており、これを音声ファイル形式に変換する作業を進行中だ。国土交通部関係者は「(音声ファイル変換まで)2日ほど必要とされる予定で、明後日には終えられる予定」と説明した。
一方、事故調査委員会は韓米合同調査チームを構成して空港内に臨時本部を設置し現場調査を進行中だ。この日から機体やエンジンなど残骸の状態と、鳥類の痕跡に対する肉眼調査などを始めたという。また事故調査に向け米ボーイングの調査員2人が追加で入国した。
務安空港の滑走路延長工事により滑走路を既存の2800メートルから2500メートルに短縮して運用していた事実も会見を通じて確認された。航空機が着陸する際に使える滑走路が既存より短くなったのだ。襄陽(ヤンヤン)国際空港の滑走路が2500メートル水準であること考慮すれば、事故機と同型機の離着陸に大きな問題はないという。だが事故機が滑走路の3分の1地点(1200メートル地点)から胴体着陸して滑りスピードを下げられず滑走路を超えコンクリート構造物と衝突したのをみると滑走路の短縮が事故に一部影響を及ぼした可能性も提起される。
また、事故機が通常と反対方向に着陸した経緯について国土交通部は「操縦士が復航を試みて右側に旋回し、その過程で管制官が最も近い方向に案内した。操縦士がそうすると話し相互に合意して着陸を試みる過程があった」と説明した。