韓国は今回の訪中をどうのように評価しているのか２題――韓中首脳会談：両国の専門家4人の見方は、他

今日の気になるニュースは、昨日取り上げた、韓国のオバサン大統領の訪中、共同声明に対して。
韓国ではどのように評価しているのか。
韓国政府の広報紙たる、朝鮮日報日本語版から。それらしい記事を探してみました。
その結果です……

Chosun Online | 朝鮮日報　韓中首脳会談：両国の専門家4人の見方は

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記事入力 : 2013/06/29 10:59

■李熙玉（イ・ヒオク）成均館大学教授
両国の指導者間の信頼に基盤を置いて戦略的な意思疎通を強化し、新しい20年を準備する基盤を確保したというのが最大の成果。両国首脳の頻繁な相互訪問、韓国の大統領府（青瓦台）国家安保室長と中国の外交担当国務委員とを結ぶチャンネルなどを共同声明に盛り込んだのがその一例だ。
習近平主席は首脳会談で、北朝鮮の核問題に関して、今が「対話の局面」だということを強調した。韓半島（朝鮮半島）信頼プロセスへの「原則的支持」で韓国に配慮する一方、韓米が対話のハードルを下げるべきだという従来の立場はさほど変わっていない。以前とは異なり、北朝鮮がよくないことをしたら相応の措置をマニュアル通り安定的に行っていく、ということを確実にしたのは進展だといえる。

■李泰桓（イ・テファン）世宗研究所中国研究センター長
未来ビジョンという表現を使って両国の中長期的関係を設計していく、という試みを高く評価する。
経済に関して、両国は七つの協定を結び、海洋資源を共同研究することとした。中国も海洋大国建設を強調しており、韓国も海洋立国が必要な時期で、中国と緊密に協力する基盤を整備した。
韓半島信頼プロセスや北東アジア平和協力構想に対する中国の支持を引き出した点、韓半島非核化の実現、核兵器開発が韓半島・北東アジア・世界に対する脅威だという共同認識、安保理決議や（6カ国協議の）9・19共同声明の履行を首脳会談共同声明に盛り込んだことも「北朝鮮の核を容認しない」という点で意味がある。

■金燦栄・人民大学国際関係学院副院長
朴槿恵（パク・クンヘ）大統領の今回の訪中は、非常に成功したと思う。習近平主席は会談で、韓半島非核化に対する中国の立場は厳粛かつ真剣なものだと語った。かつてない表現だ。北朝鮮にとって相当な圧力になり、北朝鮮の行動にかなり影響を及ぼすと思う。
朴大統領は、ミドルパワー国家の外交戦略をうまく駆使している。訪米により韓米同盟を日米同盟に近いレベルまで引き上げ、今回の訪中で韓中関係も近づいた。
ただし、統一問題はまだ先の話だ。今は、韓半島の危機の局面をどううまくコントロールするかが重要。
今回の訪中が、中国の対北朝鮮戦略の変化につながる可能性は高くない。しかし、戦術的な調整には役立つだろう。中国は既に、従来とは異なる行動と態度で北朝鮮に向き合っている。

■韓献棟・政法大学国際政治研究所副所長
両国首脳が首脳会談で「韓半島の非核化」という原則と目標に合意したことは、韓半島、ひいては北東アジア地域の平和安定にとって大きな推進力になるだろう。共同声明に「北朝鮮の核」という具体的な表現があるかないかは、重要ではない。無理にこの表現を入れて北朝鮮を刺激する必要はないと思う。
もちろん、両国は非核化に向かう過程や手段まで一致したわけではない。中国は、6カ国協議をはじめとする対話と交渉によって非核化を実現すべきという立場だ。これに対し韓国は、対話と交渉のほかに北朝鮮制裁など別の手段が必要という意見を示した。こうした違いは、今後意思疎通を続けて話し合っていく中で解決できる問題だと思う。

北京＝ 崔有植（チェ・ユシク）記者 , パク・スチャン記者
朝鮮日報／朝鮮日報日本語版

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韓国内の中国専門家４人に、今回の訪中について評価を聞いてみました……という記事。
ざっと見て、「北朝鮮問題で進展が期待できるのでは」意見ばかりです。
それ以外ですと、「海洋資源を共同研究する」という内容から、韓国と中国の間で懸案事項となっている領土問題、
離於島めぐる海上境界問題について、なんらかの進展が期待できるのでは、という意見が目を引くくらいで。
それ以外には、とくに目立った成果については書かれていません。
韓国内の有識者でも、今回のオバサン大統領により中国突撃、共同声明の成果は、あまりパッとしない見方のようですね。
むしろ、韓国にとって中国での成果よりも、こっちの方が大事のようで……

Chosun Online | 朝鮮日報　韓中首脳会談：日本メディア、韓中の蜜月を警戒

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記事入力 : 2013/06/29 10:54

読売「中国、韓国と蜜月演出し日本をけん制」
毎日「日本政府、孤立懸念」
日本の各メディア、敏感に反応

日本の各メディアは韓国と中国が首脳会談の共同声明に「歴史問題」を盛り込んだことについて「日本外し、中韓蜜月」と伝えるなど敏感に反応した。
読売新聞は28日付3面の解説記事で「『歴史問題で域内国家の対立と不信が深まっている』…中韓首脳会談後に発表された共同声明は、日本との摩擦を念頭にしたとみられる文言が盛り込まれた」「中国は、今回の首脳会談を『中韓の蜜月』を演出し、日本をけん制する絶好の機会と捉えたのは間違いない」と報じた。朴槿恵（パク・クンヘ）大統領が前例を破り「韓日」よりも「韓中」首脳会談を優先させたことについて「安倍政権に不信感を表明したとの見方もある」としている。産経新聞も同日「日本政府筋は『朴政権が日米韓の枠組みを脱し、米中韓の枠組みを選択したことを意味する』との見方を示す」と伝えた。
毎日新聞も同日付で「中韓の接近に日本政府内では『孤立化』懸念も出ている」と報じている。
しかし、韓国が中国の要求を一部拒否し、日本に配慮したという見方もある。読売新聞は中国が日本との間で問題となっている尖閣諸島（中国名：釣魚島）と独島（日本名：竹島）問題を結びつける意図で「領土問題を議題に盛り込むよう主張した」と報じたが、その一方で「韓国側は（事前折衝で）『第三国の話題はふさわしくない』と難色を示し、逆に日中韓首脳会談の開催に『努力する』との文言を盛り込むよう提案した」と書いている。

東京＝ 車学峰（チャ・ハクポン）特派員
朝鮮日報／朝鮮日報日本語版

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日本の主立ったメディアの記事見出しなどを取り上げて。
今回のオバサン大統領の訪中について、日本が不安感を募らせている、中国・韓国の連帯から孤立化することを恐れている、という論調での記事が書かれています。
たしかに、日本の主立ったマスコミは、
今回の中韓共同声明について、「このままでは日本が東アジアから孤立するぞ」という危機感を募らせた視点で見ているようですけど……
メディアから離れた一般の日本人の見方は、というと、ツィッターなどで寄せられたコメントでは、
「どうぞどうぞ。中国と韓国で仲良く手をつないで。日本に近づかないでください」
「これで中国と韓国が日本から離れてくれたら、万々歳だ」
的な文言が圧倒的主流を占めて、並んでいます。
大手マスコミの見方とは、ほぼ真逆、今回の中韓共同声明で、中国・韓国と手が切れることを大歓迎する意見が圧倒的に多いですねぇ。

どうやら、記事を見る限り、
韓国政府としては今回の訪中、中韓共同声明について、日本政府が不安にとらわれて韓国にすり寄ってくることを期待しているようです。
そういう視点で書かれた日本メディアの記事ばかり取り上げていますし。
中韓の連帯によって、日本がアジアから孤立化して、韓国との外交を重要視する、ようになってほしいみたいですね。
でも、日本国民としては、
韓国が中国にすり寄って日本から離れていくのは万々歳！　二度と近づいてくんな！　

と、今回の件で韓国と縁が切れることを喜んでいる意見の方が圧倒的です。わたしも、その意見に賛成ですし……
韓国政府の思惑とは異なる方向へと進んでいきそうですね。よきかな、良き哉。