とりあえず、
昨日、中国で抗日勝利70周年記念の行事がつつがなく執り行われました。
習近平主席は、暗殺される危惧も一部では出されていたのですけども。
そういうこともありませんでしたね。
その中で、昨日にも取り上げましたけども、人民解放軍(中国軍)の軍縮も発表されました。
でも、
日本のメディアは軍事パレードばかり報道して、その演説の内容にはほとんど触れないのが……
さて、この大々的に発表された世界に向けて出されたメッセージについて、
一日本人として、私はどういう風に受けとめるべきなのか。
なかなか難しいところであります。
まず、はっきりしているのは、
軍縮する、と明言しているのですけども、期日を切っていないのですよね。
つまり30万人減るのは100年後かもしれません。
とりあえずキーワードになりそうな言葉を演説文中から拾ってみると、
『中華民族の5千年以上も発展してきた文明』
『中国人民の抗日戦争も国際社会の広い支持を得た』
『各国の人々が中国の抗日戦争勝利のために果たした貢献を深く心に刻んで忘れない』
『世界各国は共に、国連憲章の趣旨と原則を核心とする国際秩序と国際体制を守るべきだ』
『中国はずっと平和発展の道を歩んでいく』
『発展がどこまで至ろうとも、中国は永遠に覇権を唱えない』
『永遠に領土を拡張しようとはしない』
『永遠に自らがかつて経験した悲惨な境遇を他の民族に押しつけたりはしない』
『中国人民は断固として、世界各国の人々と友好的に付き合い』
『断固として中国人民の抗日戦争と世界の反ファシズム戦争の勝利の成果を守り』
『正義は必ず勝つ! 平和は必ず勝つ! 人民は必ず勝つ!』
というところでしょうか。
ざっと見ると、
これ以上、領土を広げるつもりはないけど、
今主張している領土から手を引くつもりもないよ……この辺は南沙諸島の一件ですかね。
海洋権益はゆずらない、ということですかね。
領土拡張ではなくて、経済侵略に舵を切る、とか。サイバー攻撃に主戦場を移す、
ということなのかもしれません。
あと、
中国が拒否権を持っている国連常任理事国に、ドイツが日本が入るのは認められないぞ、
ということらしいです。
抗日戦争と反ファシズム戦争の勝利の成果を守る、と言ってますから。
最後に、「勝つ」と煽っているので、
不退転の決意表明、ってことですね。
【抗日70年行事】習近平国家主席の演説全文(1/6ページ) - 産経ニュース
2015.9.3 14:31更新
「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利70周年」の記念行事で閲兵する習近平国家主席=3日、北京(新華社=共同)
【北京=川越一】中国の習近平国家主席は3日、北京で行われた抗日戦争勝利70年を記念する式典で演説し、今後、中国人民解放軍の人員を30万人削減する方針を明らかにした。習氏の演説の全文は以下の通り。
◇
全国の同胞、尊敬する国家元首、政府首脳、国連などの国際組織の代表のみなさん、尊敬する来賓のみなさん、閲兵を受ける兵士たち、みなさん、同志よ、友人よ−。
今日は世界の人々が永遠に記念するに値する日だ。70年前の今日、中国人民は14年の長きにわたる、想像を絶する艱難辛苦に満ちた闘争を経て、抗日戦争の偉大な勝利を手にした。世界の反ファシズム戦争の完全な勝利を宣言し、平和の陽光が再び大地をあまねく照らした。
ここにおいて、私は中国共産党中央、全国人民代表大会、国務院、全国政治協商会議、中央軍事委員会を代表し、全国の抗日戦争に参加した戦士、同志、愛国人士、抗日将校に向けて、そして中国人民の抗日戦争勝利のために多大な貢献を果たした国内外の中華民族の若者に向けて、崇高な敬意を表する。
侵略に対する中国人民の抵抗を支援し、助けてくれた外国政府と世界の友人に向けて、謹んで感謝の意を示す。今日の式典に参加した各国の来賓と軍人の友人たちに向けて、熱烈なる歓迎を示す。
みなさん、同志よ、友よ!
中国人民の抗日戦争と世界の反ファシズム戦争は、正義と邪悪、光と闇、進歩と反動の大決戦だった。この惨烈な戦争中、中国人民の抗日戦争は早い最も時期に始まり、最も長く続いた。
侵略者に対し、中華民族の若者は不撓不屈の精神で、血を浴びながら奮戦し、徹底して日本軍国主義の侵略者を打ち負かした。中華民族の5千年以上も発展してきた文明の成果を守った。人類の平和事業を守り、戦争史上まれにみる中華民族の壮挙を作り上げた。
中国人民の抗日戦争勝利は、近代以来、中国の外敵の侵入に対する抵抗の最初の完全なる勝利だった。この偉大な勝利は、日本の軍国主義の中国を植民地とし、奴隷のように酷使しようというたくらみを徹底的に粉砕し、近代以来、外からの侵略に対する戦いで連戦連敗だった民族の恥辱をすすいだ。
この偉大な勝利は再び、中国の世界における大国としての地位を確立し、中国人民に世界の平和を愛する人々の尊敬を得させた。この偉大な勝利は、中華民族の偉大な復興の明るい前景を切り開き、古い歴史を持つ中国がよみがえる新たな道のりを開いた。
あの戦争中、中国人民は多大な民族の犠牲を以て、世界の反ファシズム戦争の東方の主戦場を支え、反ファシズム戦争勝利のために大きな貢献を果たした。中国人民の抗日戦争も国際社会の広い支持を得た。中国人民は永遠に、各国の人々が中国の抗日戦争勝利のために果たした貢献を深く心に刻んで忘れない。
みなさん、同志よ、友よ!
戦争を経験した人々は、なおいっそう平和の大切さを理解する。われわれが中国人民の抗日戦争と世界の反ファシズム戦争の勝利70年を記念するのは、歴史を深く心に刻み、革命に命をささげた烈士を追想し、平和を愛し、未来を切り開くためだ。
あの戦争の戦火はアジア、欧州、アフリカ、大洋州まで至るところに広がり、軍隊と一般民衆を併せ、1億人以上が死傷した。その中で、中国人の死傷者は3500万人を超えた。旧ソ連の死者は2700万人を超えた。
けっして歴史の悲劇を繰り返させてはならない。これは当時人類の自由と正義、平和を守るために犠牲となった英霊に対する、大量虐殺に遭った無辜の魂に対する、最も素晴らしい記念となる。
戦争は一枚の鏡だ。人にいっそう平和の大切さを認識させることができる。今日、平和と発展はすでに時代の主題となっている。しかし、世界はなお、どうも太平ではない。戦争の「ダモクレスの剣」は依然、人類の頭上にぶら下がっている。われわれは歴史を戒めとし、断固として平和を守る決意だ。
平和のために、われわれは人類の運命共同体の意識をしっかりと打ち立てなければならない。偏見や差別、憎しみや戦争はただ災難と苦痛を導く。相互尊重、平等な付き合い、平和発展、共同繁栄こそが、人間の正しい道だ。
世界各国は共に、国連憲章の趣旨と原則を核心とする国際秩序と国際体制を守るべきだ。協力し共に利益を得ることを核心とする新型国際関係を積極的に構築し、ともに世界の平和と発展という崇高な事業を推進すべきだ。
平和のために、中国はずっと平和発展の道を歩んでいく。中華民族は一貫して平和を愛してきた。発展がどこまで至ろうとも、中国は永遠に覇権を唱えない。永遠に領土を拡張しようとはしない。永遠に自らがかつて経験した悲惨な境遇を他の民族に押しつけたりはしない。
中国人民は断固として、世界各国の人々と友好的に付き合い、断固として中国人民の抗日戦争と世界の反ファシズム戦争の勝利の成果を守り、人類のために新たにさらに大きな貢献を果たすよう努力する。
中国人民解放軍は、人民の子弟たる兵だ。全軍の将校と兵士は、全身全霊をかけて人民のために奉仕するという根本的な趣旨を心に刻み、忠実に祖国の安全と人民の平和的な生活を守るという神聖な職責を履行しなければならない。忠実に世界平和を守るという神聖な使命を遂行しなければならない。私は宣言する。中国は今後、軍隊の人員を30万人削減する。
みなさん、同志よ、友よ!
誰でも最初は頑張れるが、最後までやり遂げるのは少ない。中華民族の偉大な復興の実現は、一代、そしてまた一代の人々の努力が必要だ。中華民族は5千年以上の歴史を持つ光り輝く文明を創造した。必ずやいっそう光り輝く将来も作り出すことができる。
道を前に進む上で、全国各民族の人民は、中国共産党の指導のもと、「マルクス・レーニン主義」、「毛沢東思想」、「訒小平理論」、「『3つの代表』の重要思想」、「科学的発展観」の指導方針を堅持し、中国の特色ある社会主義の道に沿って、(習氏が唱えた新スローガンの)「4つの全面」の戦略に従い、偉大な愛国主義精神と、偉大な抗戦精神を発揚させなければならない。
すべての人が心を一つにして、晴雨に関わらず決行し、すでに定めた目標に向かって、勇気を奮い起こして前進しなければならない。
ともに歴史が啓示する偉大な真理を心に刻もう。正義は必ず勝つ! 平和は必ず勝つ! 人民は必ず勝つ!
追記:
まず、今回の中国の式典は、
ベースになっている行事が主席が変わるごとに毎回行われている国慶節の軍事パレードで、
主席が中国の最高権力者である、と国内外に誇示するための行事である。
これが大前提。
その上で、今回目新しかったのは、
国連事務総長とか外国の首脳が参加した事でしょうか。
これについて
世界の中の大国、中国のアピール、という見方がある一方で、
自らの権威を強く見せるためには、国外勢力の力を借りなければならない窮状、
という見方もできます。
どちらと見るべきか、それはこれからの分析でしょうね。
という所で、
一日本人の私としては、
あの手の
「一糸乱れぬ統一行動」「偉大なる国家」と言う行動を見せられてしまうと、
『ソ連だよなぁ』『北朝鮮だよなぁ』と感じてしまうわけで。
あまり良い印象は得られませんねぇ。
これは、多くの日本人、というか西側諸国の人間が感じている事だと思います。
どうしても『東側』の匂いが強く漂っているんですよねぇ。
なんで、もうちょっとこう砕けた感じにならないんですかねぇ。
マーチバンドが先頭切って行進するけど、
そこそこ足並みが揃っていればいいと思うんですけど。
もっと人間くさい行事にならんもんかなぁ。
北京オリンピックのバカ騒ぎみたいなのをやった方が、
ずぅっとウケが良かったと思うんだけどね。
日本の自衛隊のパレードの記事もありました。のでブックマーク貼っておきます。
で、見たことある人は判ると思いますが。
完成度でいうと、今回の中国のパレードには遠く及びません。
みんな一生懸命頑張っています。という感じでしょうか。そこそこ必死。
今回の中国のパレードは「命がけ」の雰囲気ですからねぇ。
でも、日本人の私としては、
「そこそこ頑張る」適度にゆる〜い感じの方が、親しみが持てていいですねぇ。
「命がけ」は鬼気迫りすぎて、怖いです。