今日は選挙……神奈川県はそうなんです。というか、統一地方選だから他の地域もそうなんだよね。
それで、朝、NHKのニュースとか確認しようとしたら、
日曜討論でこの話題をテーマにしていたから。
そろそろ、このAIIBへの日本参加議論もまとめに入ったのかなぁ。と。
とにかく、
一部マスコミが『日本は参加しないと孤立する』『日米は孤立した』の
大合唱というか絶叫で。やかましくてウンザリしていたのですけど。
宗主国から、キャンペーン指令でもでているのですかねぇ。
私は参加に懐疑的で、、
同じことを考えている論説がないものか。
と探して。こんなの見つけました。
今日の横浜北部は朝から寒くて小雨が降っており、昼過ぎには一瞬雪が。真冬に戻りました。
日経ビジネスオンラインに2回目の連載記事が掲載されました。ご興味のあるかたはぜひ。
さて、昨日の放送(http://live.nicovideo.jp/gate/lv214249651)でもとりわけ反響の大きかったトピックの元記事を要約しましたのでご紹介します。
最近話題の、北京政府による「中国インフラ投資銀行」(AIIB)の創設ですが、アメリカで活躍している香港出身(?)の研究者によれば、これは逆にここ十年間にわたる中国の失策のあらわれであるという逆説的な見方です。
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China Steps Back
NY Times
中国は一歩後退●北京政府が計画している、新しい多極的な「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)はワシントン政府を不安に陥れている。ヨーロッパのアメリカの同盟国を含む40カ国以上が、オバマ政権の反対や警告にもかかわらず、すでに参加を表明しているからだ。
●ところがアメリカはAIIBを全く恐れる必要はない。むしろそれに反対すること自体が誤りだ。この銀行をつくっても中国はアメリカを犠牲にして世界へ権力を拡大することはないからだ。
●というよりも、今回の動きはむしろ中国にとって後退である。なぜならそれは、新興国における二国間関係の推進が失敗したことを中国自身が認めたことを意味するからだ。
●「中国がアメリカに代わって世界一の国になる」という心配は、冷静な分析を妨げることになるので注意が必要だ。
●たとえば2007年に中国が独自の国富ファンドを作ったことがあったが、この時も多くの人々から「中国が戦略的資源を支配し、最先端技術を入手し、そして世界の金融市場を混乱させることになる」という声があがった。
●ところが2014年に5750億ドルをコントロールしていた中国投資有限責任公司(CIC)は利益を出せずに苦しんでいる状態であり、中国の国家監察局によれば、この理由の一部は運営管理のまずさにあるという。
●2008年にアメリカの金融機関が危機に陥っている時に、中国は日本を超えて世界最大の米国債の保有国となっており、中国は将来これを捨てると脅すことによってアメリカを経済的・政治的に服従させることになるのではという予測を生み出すことになった。
●ところが中国の保有する米国債の量はそこから2倍の規模に膨れ上がり、2008年初頭の4930億ドルから今年初めには1.2兆ドルに増えている。つまりここでも心配性の人々の心配は実現しなかったのだ。
●彼らの予測の失敗の原因の一つは、彼らが中国の対外投資の本当の勢いを見落としていることが多い点にある。北京政府が国富ファンドを創設して米国債を買い上げたのは、その莫大な量の外貨準備高(しかもこれは貿易黒字の拡大によっていまだに伸びている)を安全かつ確実に利益の出る方法で投資したかったからである。
●中国のAIIB創設への動きは、彼らが直面している経済面での難問への合理的な対処なのだ。
●北京政府は十年以上にわたってその莫大な額の準備高を、中国の(主に国営)企業が世界で行うインフラ事業や鉱山開発などで手がける事業のために使ってきた。これを実行するために、彼らは途上国に対して二国間での融資や譲渡という形でその莫大な資金を使うと約束しており、2013年のランド研究所の推測によれば、その総額は2001年から11年の間で6710億ドルになるという。
●北京政府は投資先の国に影響を与えることをほとんど考慮せずに貸しているのだが、条件として中国の企業や中国産の製品を使うことを求めていた。これらの取り決めは中国企業に儲けさせることだけを考えたものであり、しかもこのやり方はあまりにも露骨で儲けはすごかった。
●もちろん中国のアフリカに対する支援によって経済面で新しいチャンスが生まれたことはたしかであるが、新たな不平等を発生させ、それが政治的にも反発を生じさせることになったのも事実である。
●たとえば中国が銅鉱山開発のために多額の投資を行っているザンビアでは、2011年の選挙の時に反中派の候補が当選している。2013年には当時ナイジェリア中央銀行総裁だったラミド・サヌシが中国のアフリカへのアプローチは「新たな帝国主義である」と警告している。
●このような警戒感はアジアにもあり、たとえば北京政府と長年同盟関係にあるミャンマーでも発生した。ここ数年でミャンマー政府はワシントン政府側に寄ってきているのだが、その理由の一部は、中国からの支援に対する依存状態を解消したいという点にある。
●たとえばミャンマーは地元の不安の種となった中国の支援した巨大なダム計画を中止しているのだが、このような中国の二国間関係を使ったプロジェクトの後退こそが、中国が多極的な投資枠組みを創設へと動いていることのあらわれなのだ。
●AIIBの投資準備額は1000億ドルに到達するかもしれないが、その中での中国の投資額は500億ドルである。去年中国は400億ドルを上海にある新しいBRICS銀行に投資すると約束したが、この銀行も、過去には「アメリカの主導する国際金融制度にとっての挑戦だ」と見られていたことを忘れてはならない。
●つまりこのような懸念で見落とされがちなのは、いかなる政府も多極的な制度をコントロールしてパワーを握れるかどうかは怪しいという点だ。
●アメリカが20世紀の超大国になれたのは二国間経済支援であり、多極的な制度で獲得した権力ではない。世銀は1944年に創設されたが、それはすぐにマーシャル・プランやその他のアメリカの二国間支援計画によってその存在が薄れてしまったのだ。
●もちろん世銀は1970年代にようやく力をつけてきたのだが、その当時のアメリカの世界的な影響力は弱まっていたのである。
●ようするに、多極的な制度というのは本質的に制限的なものだ。ある国が主体となって他国に貸す場合はその返済条件などを支配することができるが、AIIBやBRICS銀行などを通じて投資した場合には、その条件が他の出資者たちによって制限を受けることになるのだ。
●そして、これこそがまさに北京のやろうとしていることなのだ。中国の財務省副長官は最近「新たなAIIBの参加国が増えるたびに各国の決定権のシェアは落ちていく」とコメントしているが、これはまさにこのような状態を言い当てている。
●いいかえれば、中国は自分の力をあえて引き渡しているのであり、それには自らの創設した組織そのものも含まれている。そして中国がこうしているのは、他国の参加による援護とレジティマシーを必要としているからだ。
●したがって、AIIBの創設は中国の世界支配への試みではない。これは自らの足かせをつけているのであり、それは十年以上続けてきた二国間関係を使った動きからの撤退なのだ。
●そして中国がますます国際的な投資を多極的な制度(しかも自分たちが作った制度だ)を通じて行うようになれば、中国がさらに支配的になるリスクはますます低下するのだ。
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うーむ、私はこのすべての見解に同意するわけではないですが、それでもこの論者がなかなか説得力のある議論を展開していることは認めざるを得ません。
私は基本的に中国というのは自分たちでもコントロール不能の、実は政治/戦略が下手であるという認識に傾きつつあるわけですが(逆にコントロール不能だから怖いとも言えますが)、イギリスもこのような中国の弱みをわかっていて参加したというフシがありそうですね。
ということで、今後AIIBがどうなるのかは誰にもわからないとは思いますが、たしかに中国はこの辺のマネージメントが下手そうで、結局はイギリスあたりに主導権を握られて全然儲からないというパターンに行きそうな可能性も。
日本としても柔軟に対応したいところです。
私は、ここまで細々とした分析はしてませんけども。
個人的に、
AIIBに参加するかどうかの判断は、
『年金基金の運用先として適切かどうか』で考えてます。
自分が将来必要とするために運用しているお金の投資先として、出資したいかどうか。
答えは「No」
これが、政府の拠出する税金の使い道でも同じですよ。
日本は、
参加してから内部から組織を変えればいいじゃないか。
という主張もありますけども。
それだと、
ADBでは融資されない案件をフォローするために新たに設立した、はずのAIIBですから。
日本がADBと同じ手法の運営を提案したら、ADBで融資されなかった案件はAIIBでも同じように融資されなくなります。
そうするとAIIBの存在意義がなくなってしまいます。
なので、
日本がAIIBには参加せずに勝手に運営してもらう、方が、AIIBの存在意義を高めるためにも。
AIIBと日本にとって、ウィン−ウィンの答えだと思いますよ。
とまぁ、そんな事を考えるのですけど。
個人的な、AIIBの印象はまた別の記事で書こうかなぁ…と。