元農水次官が息子を殺害した事件、
判決が出ましたね。
懲役8年の求刑に対して、
懲役6年の実刑判決でした。
弁護側、被告側は、
情状酌量による執行猶予付を求めていたようですが、
実刑でした。
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私は、
この判決内容について、
妥当なところ、量刑ではないか。
と思いますけど。
マスコミで騒いでいるコメンテーター達が
語っている『世間』的には、
どんな案配なんでしょう。
私的には、
そもそも検察が求刑した『8年』という量刑からして、
被告の
ここまでの家庭事情について、
かなり斟酌した上で出した量刑に見えてます。
というのも、
武器を持ってない相手に対して、
暴言を言われただけで、
わざわざ武器を取りに行って殺害した、のですから。
『残虐極まりない』とか言われて当然の状況です。
被告側が、
身に迫った危険を感じての正当防衛的な主張をしてましたけど。
犯行時に、
その場で殺害された長男が暴力をふるって、
被告を手ひどく痛めつけた……
そのような『生命の危機』が事実としてあったのか、
といえば。
言葉で脅されただけ、で。
暴力を用いて攻撃したのは被告側が一方的にです。
それでも、
前日や前々日に、
長男から手ひどい暴力を振るわれていて。
すぐさま、
その場で身の危険に結びつくような、
事実があれば。
被告側の訴えた内容にも筋が通りますが。
そのような事実もありません。
事件が起きた当日よりも前に、
暴力を振るわれた時からは、
かなり時間が空いています。
この状況を、
『反射的に』と説明するのは無理があります。
むしろ、
検察側がこれを『計画的』と捉えてますよね。
ある種の『復讐的な』反撃、として。
さらに、
確実に殺害するために、
容赦なく何回も、相手が死に至るまで、
包丁という武器を使って攻撃してますし。
そういう状況から
事件を見ていくと。
量刑的には10年を超えた実刑を求刑してもおかしくない
内容です。
でも、
検察が求刑したのは8年。
殺害状況と比較した場合、
かなり
求刑を低く抑えています。
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さて。
気になるのは今後の展開です。
被告は
控訴するのか否か。
どうかなぁ……
この判決を見た
弁護士は、
控訴を勧めない、でしょう。
判決内容は、
検察側が告発した罪状をほぼ認めた上で、
被告の家庭事情を斟酌して
情状酌量分、
求刑から減刑した。
そのように解釈できますから。
これを控訴した場合、
高裁では、
検察が立証した罪状を、
否認しなければなりません。
もう
『情状酌量』による執行猶予なんて、
そんな方便は通りません。
おそらく、
殺意の有無を争点にして。
パニック状態による心神喪失状況での殺害、
みたいな、
主張になるのではないか、
と推測します。
ただ、
一審で殺意がはっきりと認められてしまった状況で、
その主張が今更通るのか。
難しいでしょうねぇ。
果たして
どうなるか……
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ここでの決断で。
被告の人間性が垣間見えてくるので。
この後の展開には
かなり興味を惹かれますねぇ。
東京都練馬区の自宅で44歳の長男を刺殺したとして、殺人罪に問われた元農林水産事務次官の無職、熊沢英昭被告(76)の裁判員裁判の判決公判が16日、東京地裁で開かれた。中山大行裁判長は懲役6年(求刑懲役8年)を言い渡した。
検察側は13日の論告で、長男の首や胸には36以上の傷があったとし、「被告は強い殺意に基づき、不意を突いて一方的に攻撃した」と指摘。長男からの家庭内暴力が事件の背景にあったと認めつつ「経済的に安定し、長男の主治医や同僚らに相談することもできた」として他に解決する手段があったと主張した。
これに対し、熊沢被告はこれまでの公判で、事件当日も長男に「殺すぞ」と言われ、「反射的に包丁を取りに行き、胸や首を刺した」「刺さなければ私が殺されたと思う」などと説明。弁護側は最終弁論で「発達障害のあった長男を長年にわたって献身的にサポートし、良好な関係を築くよう努力してきた」とし、「恐怖の中、自らの命を守るために殺害した」として情状酌量を求めた。
起訴状によると、6月1日午後3時15分ごろ、自宅で長男の英一郎さんの首などを包丁で多数回突き刺し、失血死させたとしている。熊沢被告は「息子を刺し殺した」と自ら110番通報した。