いつだったかの講演だったか。それとも何かのインタビューでのコメントだったか。
知日派で知られるアメリカの要人、アーミテージ氏が『従軍慰安婦』問題について。
「日本は絶対に勝てない」とコメントした事が記事になっていたのですけど。
慰安婦問題、人権重視の日本には「勝てない論争」 アーミテージ元米国務副長官 - MSN産経ニュース
2014.3.5 11:18
アーミテージ元米国務副長官は４日、韓国が問題視する従軍慰安婦問題について、人権を重視する日本には「勝てない論争」との認識を示した上で、解決するためには問題を過度に政治化しないことが重要と強調、韓国側にも自制を求めた。
河野洋平官房長官談話の作成経緯を検証する日本政府の方針については「談話の見直しとは全く違う」と述べ、韓国の批判を浴びている安倍政権を擁護した。
ワシントンでの講演でアーミテージ氏は「日本は国際社会で人権を擁護する国と見なされており、安倍晋三首相も女性の地位向上を掲げている」と指摘、日本が従軍慰安婦問題を軽視することは困難との考えを示した。
同時に、米国内では慰安婦問題を政治問題にしたい勢力があると懸念を示し、こうした動きがなくなれば「早期の問題解決を図ることができる」と語った。（共同）
もう半年も前の事なんですね。
時期としては、安倍政権が、河野談話の検証を進めることを正式に公表した頃でしょうか。
当時、この記事を読んだ時には「なんだと、この野郎」と。ムッとした物ですけど。
それまで、アーミテージ氏のコメントに接した中で、彼は日本の立場を非常によく理解していて。適切な内容のコメントを、適時出してくれていましたから。
それがここに来て手のひら返されてたようにも思えましたよ。同時に「痛いところを突かれたな」という思いもありました。
ただ、最近になって、韓国メディアの豹変というか。韓国政府の変節というか。韓国の方針転換を見ていて。
それで、ようやく彼が何を言いたかったのか。理解出来たような気がします。
Chosun Online | 朝鮮日報 米に海外２カ所目の慰安婦像 「日本狙ったものではない」
記事入力 : 2014/08/17 16:16
【デトロイト聯合ニュース】旧日本軍の慰安婦を象徴する「平和の少女像」の除幕式が１６日（現地時間）、米デトロイト北西のサウスフィールドにある韓人文化会館で行われた。海外での少女像設置は２カ所目で、いずれも米国に建てられている。除幕式にはサウスフィールド市議員や地元住民、韓国系市民団体メンバーら約１５０人が出席した。
同像の設置計画は２０１１年から始まったが、基金の募金や設置場所の確保などが難航し、約２年半の準備期間を経て完成した。当初、サウスフィールド公立図書館内への設置が決まっていたが、現地に進出している日系企業や日本総領事館が「地域社会の対立を招きかねない」として図書館側を説得し、設置が実現しなかった。
現地に進出している韓国企業は約４０社だが、日本企業は約２５０社に達している。
韓国系市民団体の所有地に少女像が設置されたものの、韓国人社会では日本系団体の反発などを懸念している。デトロイト韓人会長は同像について、「日本を狙って設置したものではない。女性の人権や平和に関する次世代の教育のためのもの」と強調した。
「韓国系有権者への過剰な迎合だ」米Ｗ・ポスト紙、「東海」併記や慰安婦石碑を問題視 - MSN産経ニュース
2014.8.20 13:00
米紙ワシントン・ポスト電子版は１９日、南部バージニア州で、日本海の名称として韓国が主張する「東海」を州の教科書に併記することを義務づけたり、慰安婦に関する石碑を地方庁舎の庭園に設置したりする動きが相次いだことについて社説を掲載し、地元の政治家の韓国系有権者に対する「過剰な迎合」だと戒めた。
特に韓国系住民の多い同州北部から、秋の中間選挙の連邦下院議員選に出馬する候補がいずれも日本海呼称問題を連邦議会に持ち込み、教科書への「東海」併記義務づけを連邦レベルで目指すと公約していることを問題視。両候補とも「国際問題の専門家でもないのに、日韓の争いに首を突っ込もうとしている」と指弾した。
また、首都ワシントンに近い同州フェアファクス郡の庁舎敷地内に慰安婦石碑が設置されたことも「首をかしげる」と指摘した。（共同）
いままでイケイケだったはずの。韓国系米国人の勢力もブレ始めてきました。
それじゃあ、この機に乗じて日本が勝てるのか……と考えてみると。慰安婦問題において、それは絶対あり得ないんですよね。
なぜなら、太平洋戦争で日本が負けた時点で、戦前の日本政府と日本軍の行動は『悪』だと決定されてしまっているわけです。
それが、現在まで続く世界秩序の土台になっているわけで。戦争に負けた日本が、それを今さら引っ繰り返すことはできないんです。
引っ繰り返すなら、もう一度アメリカ相手に戦争をやり直して、勝利を収め。歴史を書き直さなければなりません。
太平洋戦争に敗北した日本軍と日本政府は、どうやっても『正義』の側に立つことは許されないんです。
じゃあ、日本人は韓国の嘘で固めた言い分を認めるしかないのか……と言えば。そうでもないわけで。
ここで、アーミテージ氏のコメントが、思い起こされるわけです。
「日本は勝てない」それは確かにその通り。
しかし、必ずしも『勝ち』が必要か、と言えば。そうではなくて。日本は『負けなければいい』わけです。
なんか詭弁にも聞こえますけど。
日本にとって本当に必要なのは。「韓国の言い分はオカシイ」との認識が世界に広まることで。
それには、「日本の言い分が正しい」と認められる必要は無いんですよね。
つまり、「日本も韓国も言ってることがオカシイ。この問題は簡単に答えが出る問題ではない」と世界が棚上げしてしまう状況でも、日本にとっては十分戦略的な勝利を意味するんですよ。
慰安婦問題は、日本と韓国が平行線のまま同じ主張を繰り替えして。
世界は呆れて首を突っ込まない。これで十分なんです。
最近、ようやくそれが判ってきました。
で、アーミテージ氏は、この事はすでに３月の講演の時点で話していたんですね。
もちろん、直接的には、そんな事言いませんけど。韓国側に手の内バレちゃうから。
やっぱり頭が切れる人なんだなぁ。と改めて感服した次第です。
