kg_noguの愚痴日記

アラfi親爺が日々の愚痴を綴るブログです。だいたい日韓関係とか。最近はコロナ情報がメイン

ご冥福をお祈り申し上げます ── 「セクシー田中さん」「砂時計」で知られる漫画家の芦原妃名子さん死去

なんというか、
残念です。



この方の漫画作品をドラマ化する過程で、
制作上のトラブルがあって。
それを
SNS上で愚痴ったら。
派手に炎上してしまい、
その直後に
今回の訃報が……
業界の闇というか
かつて業界に末席にいて
似たような経験をしたことがある身としては。
こういう状況での訃報は本当に残念です。



こういう時
『フリー』というか、
自称・作家と揶揄されるくらい連載ギリギリの立場の
中堅以下の寡作商業作家って
本当に立場が弱いんですよねぇ。
というか売れっ子大先生だけです。強いのは。



最近、
漫画がドラマ化される数が増えてきましたけど。
これには、
大きく2種類ありまして。
そこそこ金かけて
話題作を作ってガチで
視聴率とか売り上げを取りに行くタイトルと。
とにかく
出来上がってる話題作の名前を使って
お手軽予算で
ドラマ制作部に仕事を作るために
いわば
番組枠の穴埋めのために作る使い捨てタイトルと。
だいたい
この2つに分かれていまして。
まあ、
担当する脚本家とか監督とか出演者の名前を見た瞬間に
「あぁ……」って察しますよ。
 以下、
 私の経験を踏まえた上での印象ですけど。
 小説とか漫画などのフィクションを実写化する場合、
 演じる役者は
 舞台演劇でメインキャスト、看板役者をはれるくらいの
 全身で演技ができる実力が必要で。
 さらに、
 顔芸ができる能力を、表現力、技術を持っていないと。
 原作をまともなに実写化した作品になりません。
 原作作品が表現している『間』、
 行間とかコマ割りとか空白とか、
 そういうキャラクター以外が作り上げている世界観を実写化するのには、
 役者に相当高いレベルの演技力、表現力が要求されます。
 だから、
 制作陣が原作を理解して、
 まともな作品を作ろうという熱意があるのなら、
 予算が少なくても、放送枠が外れ枠でも、
 役者だけはメインの数人だけでも演技できる実力者をキッチリ押さえて
 引っ張ってきます。
 なので、
 制作陣がまもとに作る気があるかどうかは、
 それを見ただけで丸わかりなんですよ。
 ただ、
 この辺は業界の不文律とか暗黙の了解といいますか、
 制作陣だってキッチリわかっていて。
 見た目だけはそろえてきて、
 『原作サル真似以下の話題だけの糞作品になるけど。
  タイトル使用料と実写ドラマ化の金看板くれてやるから
  実写化やらせろ。それで割り切れ』
 って話もあるんですよねぇ。
 そういう案件は割り切るのが当たり前の話で。
 割り切れないのなら話を受けるな、持ってくるな。って筋なんですよ。
 ※原作者や原作ファンが納得できない内容の改変作品を『糞』と称します。
 ドラマ制作側からしたらね、こう書くと乱暴ですけど、
 キャストの能力超えて、できないものはどうやってもできない。
 だからできる範囲で納めるために改変アリアリでやりますよ。
 ってのが契約の大前提です。
 でも作者の中には、
 そこを割り切れない人もいるわけで。
 そういう作家のところへ、この手の話を持っていったら、
 ほぼほぼ原作側がつぶれて書けなくなる(描けなくなる)ってのは
 過去にいくつもそういう事例が山積みのわかりきった案件でして。
 だから
 この件に関して、日テレとかドラマ制作陣からすれば、
 小学館お前言ってることやってることおかしくね?
 この座組なら原作とは似つかない糞になるのはわかりきってたじゃん。
 分かって話受けておいて、俺らを悪者にするのか? って
 ブチ切れ案件だと思うなぁ。
それでも、
連載継続のために露出度アップは必要、
とか言われて。
受けなきゃ先はないです、とか
言われたら受けるしかないですし。
愚痴ったら
『わざわざ話を持ってきたのにケチつけるとか、お前何様!?』って
パワハラまがいの圧迫してきて
ゴリゴリ精神削ってきますし。
穴埋めドラマの場合、
テレビ側の基本スタンスって、
『テレビ使って俺たちが売ってやるんだよ』って
ゴリ押しパワープレイですから。
いや別にいらんけど、って話なんですけどね。
単に
企画書通すために
作品のネームバリューが必要なだけで。
どうせまともに作る気ないんだから。
そこで、
名義貸ししただけの『別作品』と割り切れるかどうか。
これが
できないとツラいです。
とくに
久々に勝ち取った連載なのに、
その作品世界観をブチ壊されたり、とか。
本作品への影響を考えたら、
頭抱えて死にたくなります。
熱心なファンが
糞ドラマとか
不出来な二次作品を見て抱えたヘイトは
そういう
糞二次作品化を許可した作者へも向かいますから。
生真面目メンタルだと、
ネットで
ボロカス言われるのは死ぬほど堪えます。



とまあ、
ここまで書いてきたのは、
私の経験ですけど。
今回ニュースになった件が
そういう不幸な事例でないのを願うばかりです。
私の場合、
きつかったのは
テレビ局とか他メディアの人たちが好き勝手にやるのは仕方がない、
割り切れても。
それに
担当編集まで加勢して。
テレビ局の味方となって
私のような作家を守ってくれず責め立てる側に回り。
孤立無援となったのが
マジでキツかったですねぇ。
※私の場合
 ドラマ化ではなくてアニメ化で。
 担当編集はいなくて会社の上司になりますけど。
 それも遠い昔の話だ(涙




謹んで
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

追記:

私的に、
この件に関して
一番最大の疑問というか。
不可解なのは、
小学館は、
どうして
この漫画の実写化を了承したのか。
最初の段階で
担当プロデュサーがこういう案件で数々の前科持ちのヤバイ人物で。
このプロデューサーに任せたら、
ほぼ十中八九トラブって、
原作が傷を負う、って。
予想できたはずでしょ。
『ババ』だと分かっているのに引くのは
阿呆だよね。
ふつうは
避けるだろ。
もったいないけど。
縁が無かったと流すよね。



あと、
日テレ側からは
形式だけとは言え
追悼文と状況説明らしきものを掲載してきているのに。
小学館側からは、
30日に追悼文を出しただけで状況説明のメッセージが一切出てないのが、
『異常』なんだけど……
だって、
連載中の作家が亡くなったんだよ。
まっさきに、
読者に対して
事実を報告するでしょ。
というか、
ほかの編集部とか出版社なら、
それやってますヨ。
でも、
今回の件に関して、
小学館
ダンマリ口を噤んで。今回のいきさつについてはまったくなにも
情報を発信していません。



今では削除されて閲覧できなくなってしまいましたが。
亡くなられた原作者当人が
当初
SNSに公開した書き込みを見ると。
10月放映予定のドラマに対して、
原作者当人が最終的に同意したのが6月上旬だと
書いてあります。
これ、
普通ならありえないスケジュールですよ。
まともに読めば、
原作者当人は、
製作当初からドラマ化に乗り気ではなくて。
かなり高いハードルを提示しているのに
小学館側の
原作者以外の人が
ドラマ化を熱心に進めていた。と、
そう
読めるんですけど。
そこは、
どうなっているんですかね?

 

 

www.yomiuri.co.jp

「セクシー田中さん」「砂時計」で知られる漫画家の芦原妃名子さん死去、50歳

 漫画家の芦原妃名子(本名・松本律子)さん(50)が29日、栃木県日光市川治ダムで死亡しているのが見つかった。捜査関係者によると、東京都内の自宅からは遺書のようなものが見つかった。
 芦原さんは兵庫県出身で、1994年に「その話おことわりします」でデビュー。2005年に「砂時計」小学館漫画賞(少女向け部門)を受賞した。現在は月刊誌で「セクシー田中さん」を連載中。同作はドラマ化され、日本テレビ系で昨年10~12月に放送された。

 

 

 

www.sankei.com

芦原妃名子さん、「セクシー田中さん」ドラマ脚本巡り苦悩 Xに「大切なシーン、カット」

 29日に死去が明らかになった漫画家の芦原妃名子(本名・松本律子)さん(50)は、日本テレビ系で昨年10月クールに放送された連続ドラマ「セクシー田中さん」の原作者で、今月に入り、ドラマの脚本を巡ってトラブルになっていたことをX(旧ツイッター)で明かしていた。
芦原さんは今月26日、自身のXで、「今回のドラマ化で、私が9話・10話の脚本を書かざるを得ないと判断するに至った」と説明。経緯を長文でつづっていた。
 それによると、芦原さんは原作漫画は未完であり、結末も定めていないことから「必ず漫画に忠実に」、ドラマオリジナルとなる終盤については「原作者があらすじからセリフまで」用意することも条件とし、「場合によっては、原作者が脚本を執筆する可能性もある」と制作側に求めた。
 しかし、「毎回、漫画を大きく改編したプロットや脚本が提出されていた」とし、「漫画で敢えてセオリーを外して描いた展開を、よくある王道の展開に変えられてしまう」「個性の強い各キャラクターは原作から大きくかけ離れた別人のようなキャラクターに変更される」などと指摘。「私が『セクシー田中さん』という作品の核として大切に描いたシーンは、大幅にカットや削除され、まともに描かれておらず、その理由を伺っても、納得のいくお返事はいただけない」などと振り返っていた。
 芦原さんが加筆修正し、7話まではほぼ原作通りとなったが、相当に疲弊。ドラマオリジナル展開の8話~10話についても、「当初の条件は守られず私が準備したものを大幅に改変した脚本がまとめて提出されました」と明かした。